お子さんがボールを追う姿を見守りながら、ふとーー
「どのくらい練習させれば上手くなるのだろう」
「強豪チームに移るべきか」と迷った経験はないでしょうか?
今回は、冨安健洋選手と遠藤航選手が語った実体験を手がかりに、小学生年代の効果的な育成と適切な練習量、そして親が果たすべき役割を深掘りします。プロが通った道を知ることで、今日からのサポートがぐっと具体的になるはずです。
小学生時代に身につけた「基礎」とは何か
冨安選手がまず挙げたのは、壁当てとリフティングというシンプルな自主練習です。
自宅の壁に繰り返しパスを当てることで、ボールタッチの感覚が自然と研ぎ澄まされ、次にどこへ跳ね返るか予測する判断力も鍛えられました。周囲の大人に叱られるほど夢中で続けた経験が、後の精度の高いパスワークにつながったといいます。
一方、遠藤選手は「とにかく走っていた」と振り返ります。
学校や公園で中距離を重ねるうちに、試合終盤でも落ちないスタミナが培われ、プレミアリーグのハイテンポにも適応できる身体ができあがりました。二人の例は、技術と体力という異なるアプローチが共通して「毎日自ら続けた時間」の上に築かれていることを示しています。
練習量は「質」と「主体性」が決め手
では、どれほどの練習量が必要なのでしょうか。
冨安選手は所属チームの練習が週3回、各2時間ほどだった一方で、放課後や週末に自主的なボール遊びを合わせると、実際のタッチ数は倍以上に膨らんでいました。遠藤選手も同様で、公式練習より「自分で走った距離」の方が長かったと語ります。つまり、小学生の育成で鍵を握るのは「決まったメニューの時間」ではなく、「子ども自身が楽しく続けた総量」です。親が管理表で分刻みに練習量を追うより、子どもが自らボールを持ち出す環境と気持ちを整える方が、数値以上の成果を生み出します。
強いチームへ移籍する必要はあるのか
「プロになるなら強豪クラブへ」という思い込みについて、両選手はそろって首を横に振ります。冨安選手は「小学生のうちは関係ない」と言い切り、遠藤選手も「僕自身、地元のクラブで十分だった」と体験を重ねます。
理由は明快です。
小学生期は身体の成長速度も技術の伸び方も個人差が大きい時期であり、日々の自主練習こそが成長を左右するからです。試合で勝つことより、ボールに触れる喜びと自発的な挑戦を重ねることが、将来の伸びしろを広げます。
親ができる最高のサポートは「環境づくり」と「見守り」
冨安選手は「親がどれだけ良い意味で放っておけるかが大事」と語ります。
具体的には、ボールや練習スペースを準備し、安全を確保したうえで、「やりたい」と感じた瞬間にいつでも触れられる環境を整えることです。
遠藤選手も「まずは楽しむこと」と強調し、結果や勝敗を気にしすぎる大人の視線が子どものモチベーションを奪う危険性を指摘します。上達を急がせず、試合や自主練習後の食卓で「今日はどんなプレーが楽しかった?」と耳を傾ける――その対話が、練習量を自然と増やす原動力になります。
まとめ:育成の芯は「楽しさ」と「自立」
小学生年代のサッカー育成で押さえるべき芯は、次の三点に集約されます。
第一に、壁当てやランニングといった基礎練習を、子どもが主体的に続けられるようにすること。
第二に、練習量は数字より質と自主性で測ること。
第三に、親は環境を整え、成長を焦らず見守ることです。
たっぷりの太陽と水が木をまっすぐ伸ばすように、「サッカーって楽しい」という純粋な気持ちこそが、お子さんの可能性を大きく育てます。サッカーママ・パパの温かなサポートが、次のステップへ向かう力を静かに後押ししてくれるでしょう。
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