「もっと上手くなってほしい」
「チームでさらに活躍してほしい」
その想いが強すぎて、つい口出ししてしまったり、練習に口を挟んだりしていませんか？
でも実は、「育てよう」という思いが、かえって子どもたちの成長を妨げることもあるんです。
今回は、元サッカー日本代表監督であり、現在はFC今治や教育の現場で活躍する岡田武史さんの教育哲学をもとに、小学生のサッカー少年・少女の成長を促す親のマインドと関わり方を具体的にご紹介します。
今回参考の書籍：岡田メソッド 自立する選手、自律する組織をつくる16歳までのサッカー指導体系（岡田武史 著）
【岡田メソッドの真髄】「育てようとしない」から子どもは育つ
岡田さんは、子どもの育成についてこう語っています。
「子どもや選手を育てるなんておこがましい。育つのを邪魔しないくらいでいいんです」
この言葉には、親が主導しすぎることへの警鐘が込められています。
サッカーでも子育てでも、“育てる”より“信じて待つ”姿勢が、子どもの主体性や自立心を育てる鍵になるのです。
【親の対応①】「どうしたい？」で主体性が育つ質問力
岡田メソッドでは、子どもに「自分で考える力」を育てるための質問として、次の3つを使います。
- どうしたの？
- どうしたいの？
- 手伝えることある？
この3つの質問は、親の意見を押しつけず、子ども自身に考えさせるきっかけになります。
たとえば、試合でうまくいかなかったとき。
「なんで決められなかったの？」ではなく、「どうしたの？」「次はどうしたい？」と聞くことで、失敗を“学び”に変えることができます。
これは、サッカーだけでなく、日常のトラブルや勉強でも応用可能。子どもの内側からマインドを育てる関わり方です。
【親の対応②】「型」や「原則」を教えて、自立の土台をつくる
「自立させたい」と思っても、何でも自由にさせるのは逆効果。
岡田さんは、「型がなくて型破りはできない」と述べ、まずは基本となる型や原則を伝えることの大切さを説いています。
たとえばサッカーでは、
- 味方が困っていたら必ず寄る（緊急サポート）
- 困っていなければ距離をとる（継続サポート）
という「サポートの原則」を徹底させます。これにより、状況を見て自分で判断できる選手が育ちます。
これは家庭でも同じ。
「困っている友達がいたらどうする？」といった“行動の原則”を一緒に考えることで、子どもは自分で行動を選べるようになります。
【親の対応③】“1回ぐらい”を許さない。細部が未来を決める
岡田さんは「勝負の神様は細部に宿る」と強調します。
- 練習でコーンの外側を回る
- 最後の1本だけちょっと手を抜く
こうした“ほんの少しのサボり”が、実は大きな差になるという考え方です。
「たった1回ぐらい」という気持ちを見逃さず、「細部までやりきる習慣」を子どもと一緒に育てましょう。
地味な作業の積み重ねが、やがて大きな“運”を引き寄せる力になるのです。
【親の対応④】過度な期待を手放すと、子どもは伸びる
「うちの子、プロになれるかも」「エースになってほしい」――
そんな期待が強すぎると、プレッシャーが子どもの心を圧迫することも。
岡田さん自身、プロ監督として活躍しながら、自分の子にはサッカーを教えられなかったと語っています。親の期待が、子どものやる気や自然な成長を妨げてしまうことがあるのです。
大切なのは、「見守る」こと。
信じて待つことが、子どもにとって最高の応援になります。
【親の対応⑤】「困難」は避けず、子どもの成長スイッチに
今の時代、「便利・安全・快適」が当たり前。
でも、岡田さんはこう警告します。
「人間には、困難を乗り越えることで初めて入る“遺伝子のスイッチ”がある」
子どもが試合で失敗したとき、友達とケンカしたとき…。
つい親が先回りして解決したくなりますが、その“しんどい体験”こそ、子どもが成長するチャンスなのです。
「どうしたら乗り越えられるか？」を一緒に考え、見守る。
その過程で、子どもの中にある本来の力が芽を出していきます。
【親の対応⑥】仲良しじゃなくてもOK！違いを認め合う力
サッカーはチームスポーツ。でも、「全員仲良し」である必要はありません。
岡田さんは、
「一体感って、違いを認め合って、結果が出てから初めて生まれるもの」
と語っています。
合わない子もいる。気の合わない相手もいる。
でも、「チームで勝つ」という共通の目的があれば、協力はできるんです。
子どもが人間関係で悩んでいるとき、「みんな仲良くしなさい」ではなく、「違いを認め合って、どう力を合わせるか考えてみよう」と伝えてあげると良いでしょう。
【まとめ】サッカーを通じて、親子で一緒に“育つ”
岡田メソッドが教えてくれるのは、子どもを信じて任せる大切さです。
- 育てようとせず、育つのを邪魔しない
- 困難に向き合うチャンスを奪わない
- 原則を伝え、自分で判断させる
- 細部を大切にする姿勢を育てる
- 違いを認め、チームで力を合わせるマインドを持つ
親が「セーフティネット」となり、そっと見守りながら、ときには背中を押す――
そんな存在であることで、サッカー少年・少女たちは、ピッチの中でも外でも、自らの力で成長していけるはずです。
サッカーを通じて、子どもと一緒に親も学び、ともに育っていきましょう！
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