「いつかプロサッカー選手に!」
「プロサッカー選手をめざすためには、どんな進路がよいのか…」
近年のプロサッカー界では、その夢を叶えるためのルートが大きく変化しているのをご存知でしょうか?
かつては「高校サッカー部のエース」がJリーグへ進むのが定番でしたが、今では「クラブユース」や「大学サッカー部」出身のプロ選手が主流となっています。
今回は、人気番組『FOOT×BRAIN+』で元日本代表の柿谷曜一朗さんと平山相太さんが語った内容をもとに、最新のプロ育成ルートや参考になる情報をお届けします。
少年サッカーからプロへ:進路の常識が変わった
サッカー界では、日本代表に選出される選手たちの“出身カテゴリー”に大きな変化が起きています。以前は高校サッカー部出身者が圧倒的多数でしたが、現在ではクラブユースや大学サッカー出身者の数が逆転し、主流となっています。
例えば、Jリーグの今シーズンのルーキー内訳を見るとーー
■高校サッカー出身:16名
■クラブユース出身:44名
■大学サッカー出身:131名 にものぼります。
この数字が示すように、大学サッカー部はもはや「プロの予備軍」と言っても過言ではありません。
こうした流れの中で、少年サッカーに励むお子さんの進路を考える際には、高校→プロという従来のルートだけでなく、「ユース→プロ」や「大学→プロ」といった複数の選択肢があることを理解しておくことが重要です。
クラブユースの魅力:プロに最も近い育成環境
プロへの近道として注目を集めるクラブユース。中でもセレッソ大阪の育成組織で4歳から育ち、16歳でプロデビューした柿谷曜一朗さんは、クラブユースの成功例の代表格です。
柿谷さんによれば、クラブユースの最大の魅力は「トップチームの選手と日常的に触れ合えること」。
憧れの選手を間近で見たり、直接アドバイスをもらったりすることで、子どもたちのモチベーションは飛躍的に向上します。
また、クラブによっては、現役引退後のレジェンド選手が指導者としてユースに関わるケースもあり、クラブの歴史や「勝者のメンタリティ」を肌で学ぶことができます。例えば、鹿島アントラーズユースでは、元日本代表の柳沢敦氏や小笠原満男氏が指導にあたり、クラブのDNAを選手に伝えるなど、独自の育成文化が根付いています。
クラブユースは、プロの世界に最も近い場所でありながら、少年サッカーからステップアップしたい選手にとって理想的な成長環境と言えるでしょう。
大学サッカーの強み:人間力と専門性の育成
一方、大学サッカーの可能性も近年大きく注目されています。
元日本代表の平山相太さんは、国見高校時代に全国制覇を経験し、Jリーグからのオファーも受けながら、筑波大学への進学を選びました。当時は「自分がプロになれるとは思っていなかった」と語る平山さんですが、大学での経験は彼にとって非常に意義深いものでした。
現代の大学サッカーは、人工芝や最新設備の整ったトレーニング施設、GPSによるデータ分析、専用アプリでのコンディション管理など、プロと遜色のないレベルに達しています。
さらに、大学ならではの特長として、他競技の選手や指導者との交流があります。平山さんは、筑波大学在籍時に陸上の指導者・谷川先生(三笘薫選手も指導)から走り方を学んだエピソードを挙げ、「異分野との交流が自分を成長させた」と語っています。
また、大学ではトレーニング学・栄養学・心理学といった専門的知識を学ぶことができ、サッカー選手としてだけでなく、人としての幅広い成長が期待できます。
プロに必要なものは“技術”だけじゃない
近年のサッカー界では、「技術力」以上に「人間性」が重要視されるようになっています。
大学サッカーの現場では、ただサッカーが上手いだけではなく、「プロとしての自覚」や「自己管理能力」が求められます。明治大学のサッカー部では、監督が「人間としての在り方」を厳しく問い、選手たちに社会性や責任感を身につけさせています。
実際に柿谷さんも、大学サッカー出身の選手たちが、オフの日でも練習場に来てトレーニングを行い、食生活も徹底して管理している様子に驚いたといいます。
今では、「やんちゃな先輩がかっこいい」という時代は過ぎ去り、「真面目にサッカーに向き合う選手」が評価される時代です。これは、Jリーグの成熟とともに、選手一人ひとりが「プロとはどうあるべきか」をしっかり理解し、行動に反映させているからこそ生まれた変化です。
サッカーママ・パパにできるサポートとは?
少年サッカーからプロを目指す子どもたちにとって、どの進路が最適なのかは一概に決められません。それぞれに向き不向きがあり、性格や考え方、目指すサッカーのスタイルによって選ぶべきルートも変わります。
クラブユースでは、早い段階からプロに近い環境で技術と意識を高められる一方、大学サッカーでは、じっくりと時間をかけて人間的にも成長できる環境が整っています。進路選択に際しては、「どちらが早くプロになれるか」だけでなく、「どんなプロになりたいか」「サッカー選手として、また一人の人間としてどう成長したいか」という観点が大切です。
大学進学を選ぶと、プロデビューは数年遅れるかもしれませんが、その分得られる経験や知識、人間性は、その後のサッカー人生をより豊かにする力になります。
サッカーママ・パパの皆さんには、お子さんが進路に迷ったとき、選択肢を押しつけるのではなく、冷静にそれぞれのメリット・デメリットを一緒に整理して、本人の想いや個性を尊重した選択をサポートしていただきたいと思います。
まとめ:プロへの道は一つじゃない
プロサッカー選手への道は、今や一つではありません。少年サッカーから始まる長い道のりには、「クラブユース」という最短距離もあれば、「大学サッカー」という時間をかけた育成ルートもあります。
どちらを選んでも、お子さんが目指す目標に向かって真摯に努力を続ければ、その経験は必ず人生の財産になります。
今回ご紹介した内容が、サッカーママ・パパの皆さんにとって、お子さんの進路を考える一つのヒントになれば幸いです。
そして、どのルートを選んでも、親としての応援が子どもたちの大きな力になることを、どうか忘れないでください。
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