「なんでうちの子は出られないの…」その気持ち、コーチにも見えています
試合の日、ベンチに座ったままのわが子を見ているとき、どんな気持ちになりますか?
「悔しい」「かわいそう」「コーチはなんで出してあげないんだろう」……そんな思いがぐるぐると頭を回って、試合が終わった後もなんとなく気持ちが晴れない。
そして、帰りの車の中で子どもに何を言ったらいいかわからなくて、黙ってしまったり、逆に「もっと頑張らなきゃ!」と言ってしまったり。
その葛藤こそが、子どもを本気で愛している親のあかしだと、私は思っています。
私はサッカーコーチとして20年以上、数えきれないほど多くの子どもたちとそのご家族と向き合ってきました。補欠問題は、どのチーム、どのスクールでも必ず出てくる、親御さんの最も深い悩みのひとつです。
今日は、その悩みに真正面から向き合いながら、アドラー心理学の「勇気づけ」という考え方を軸に、お子さんとの関わり方のヒントをお伝えしていきます。
問題の本質:「試合に出られない」ことより、親の反応がカギを握っている
試合に出られないことは、確かに子どもにとってつらい経験です。でも、実は子どもたちが最もダメージを受けるのは、「試合に出られなかった」という事実そのものではないことが多いのです。
それよりも、「試合後に親がどんな顔をしているか」「どんな言葉をかけるか」——そこに、子どもの心の受け取り方が大きく左右されます。
今日のスクールでも、こんな場面がありました。試合でほとんど出番がなかったAくん(小5)が、終わった後もピッチの端でひとりドリブル練習をしていたんです。ところが、駐車場でお母さんの顔を見た瞬間、表情がぱっと曇りました。お母さんが、悲しそうな顔をしていたからです。
Aくんはそれまで「次こそ出たい」という気持ちで動いていたはずなのに、お母さんの顔を見て初めて「あ、俺はダメだったんだ」と感じてしまった——そんなふうに見えました。
子どもは、親の感情のアンテナを常にキャッチしています。親が「かわいそう」と思うとき、子どもは「自分はかわいそうな子なんだ」と感じてしまうことがあるのです。
なぜこうなってしまうのか?3つの原因
① 親が「結果」で子どもを見てしまっている
「試合に出られた=成功」「出られなかった=失敗」——無意識にそう判断してしまうのは、ごく自然なことです。でも、サッカーはそんなに単純ではありません。
コーチの立場から言わせていただくと、試合に出られないお子さんの多くが、練習ではすごく成長しています。チームのために声を出してたり、準備をきちんとしていたり。そういった「見えない貢献」に親御さんが気づけていないケースがとても多いです。
② 「比べる」ことで子どもを追い詰めてしまっている
アドラー心理学では、「すべての悩みは対人関係から生まれる」と言われますが、特に「比較」は子どもの心を深く傷つけます。
「○○くんはいつも出てるのに」「去年は出られたのに」という言葉は、たとえ親がうっかり口にするだけでも、子どもにとっては「自分は○○より劣っている」という強烈なメッセージになってしまいます。
比べるなら、過去のわが子とだけ比べる。それだけで、子どもの見える景色がガラッと変わります。
③ 「結果を変えようとする」プレッシャーが子どもを萎縮させている
「もっと積極的にいかないと!」「コーチにアピールしなきゃ!」——親のその言葉、実は子どもにとってはプレッシャーでしかないことがほとんどです。
特に、繊細な子・慎重なタイプの子は、「失敗したら怒られる」という不安が先に立って、逆にのびのびプレーできなくなってしまいます。コーチから見ると、「あの子、最近固くなったな」と感じることがよくあります。
解決方法:アドラー心理学の「勇気づけ」で子どもの心に火をつける
アドラー心理学の中核にある考え方のひとつが「勇気づけ(エンカレッジメント)」です。これは単なる「ほめる」とは違います。
「ほめる」は、結果に対して評価を与えること。「すごい!」「よくできた!」という言葉は、裏を返せば「できなかったらすごくない」というメッセージにもなり得ます。
一方、「勇気づけ」は、結果に関係なく、その子の存在や努力そのものを認めること。
具体的には、こんな言葉です:
- 「今日も練習してたね。それが一番大事だよ。」
- 「出られなくても、ちゃんと見てたよ。」
- 「焦らなくていい。あなたのペースで絶対伸びるから。」
これらの言葉は、「試合に出ること」よりも「サッカーを続けること」「自分を信じること」を子どもに伝えます。
勇気づけとは、子どもが自分で立ち上がれる力を育てることです。
今日からできる!具体的な3つのアクション
アクション1:試合後の「第一声」を変える
「なんで出られなかったの?」「もっと頑張らないと」ではなく、まずはこの一言から始めてみてください。
「今日もお疲れさま。どうだった?楽しかった?」
子どもが話したそうにしていたら聞いてあげる。話したくなさそうなら、そっとしておく。これだけで十分です。結果より、子どもの気持ちに寄り添うことが最優先です。
アクション2:「できていること」に目を向けるメモをつける
1週間、試合や練習を見ながら「今日のわが子が良かったこと」を3つだけ書き留めてみてください。プレー内容じゃなくていい。「荷物を自分でまとめていた」「友達に声をかけていた」でも十分です。
これを続けると、親御さん自身の目線が変わります。「できていること」を見る習慣が、子どもへの言葉も変えていきます。
アクション3:コーチへの相談は「子どもの成長のため」に絞る
「なぜうちの子は出ないんですか?」という聞き方は、コーチとの関係をこじらせるリスクがあります。もし相談するなら、こう聞いてみてください。
「家でできる練習で、何かアドバイスをいただけますか?」
コーチは「子どもを伸ばしたい」という気持ちで動いています。そこに親御さんが歩み寄ることで、子どものためのチームワークが生まれます。
まとめ:補欠は終わりじゃない、スタートです
試合に出られない時期は、子どもにとって「何かを学ぶ時期」でもあります。忍耐、努力、仲間への声がけ——そういった見えない力が、その子の土台になっていきます。
コーチとして断言できます。「補欠だった子が、数ヶ月後にレギュラーになる」という場面を、私はこれまで何十回と見てきました。その共通点は、親御さんが子どもを信じ続けていたこと。
あなたがわが子を信じる力こそが、子どもの可能性を開く鍵です。
ぜひ今日から、「勇気づけの言葉」をひとつ試してみてください。
このブログでは、サッカーを通じた子育ての悩みや、コーチ目線のアドバイスを定期的に発信しています。「こんなこと聞いてもいいの?」という些細な疑問も、コメント欄でいつでも歓迎しています。一緒に、子どもたちの笑顔を増やしていきましょう!


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