お子さんがサッカーを始めて、数ヶ月。
最初は夢中でボールを追いかけていたのに、ある日ふと「行きたくない」と言い出す。
試合でうまくいかない、友達とのトラブル、厳しいコーチの言葉――
そんな「壁」に、少年少女たちは何度もぶつかります。
サッカーママ・サッカーパパとして、そんな時にどう関わるべきか。今回は、おすすめ本『子どもがサッカーを始めたら読む本』の第7章「壁にぶつかったら、どうすればいいですか?」をもとに、親としての向き合い方を探ります。
今回ご紹介の書籍:子どもがサッカーを始めたら読む本<7人の賢者に聞いた53の習慣>(土屋雅史 著, 大槻邦雄 監修)
「好き」という気持ちを再認識するには、一度離れることが効果的になる場合もある
サッカーを始めたばかりの頃、子どもは「楽しい」「もっとやりたい」と感じていたはずです。でも、続けるうちに技術の差や勝敗へのプレッシャーにさらされ、「楽しい」が「苦しい」に変わってしまうことがあります。
そんな時、あえて少し距離を置くことで、「やっぱりサッカーが好き」という気持ちを再確認できることがあります。無理に練習を続けさせるのではなく、「一度お休みしてもいいんじゃない?」と伝えてみましょう。親のこの一言が、子どもにとって救いになることもあります。
「親がどうしてもらいたいか」ではなく「子どもがどうしたいか」
サッカーママ・サッカーパパが抱くのは、「頑張ってほしい」「あきらめないでほしい」といった想い。でも、いちばん大切なのは、子どもが「どうしたいか」です。
親の期待が知らず知らずのうちにプレッシャーになっていることもあります。「本当は行きたくないけど、親にがっかりされたくないから行く」。そんな状態では、成長も楽しさも生まれません。まずは子どもの気持ちに寄り添い、「どうしたい?」と問いかけることがスタートです。
サッカーも人生も、成功と失敗でくくってはいけない
試合でのゴール、レギュラー入り、優勝――それらは分かりやすい「成功」に見えるかもしれません。でも、それだけが価値ではありません。
「試合に出られなかったけど、誰よりも声を出して応援した」「うまくいかない中でもあきらめなかった」――こうした経験こそ、子どもの心を強く育てます。
サッカーパパやサッカーママとして、「結果」だけを見ず、「過程」や「姿勢」に注目し、子どもの努力を認めてあげることが大切です。
夫婦間でリスペクトし情報共有すると、子どもと良い関わりをもてる
「今日は練習で何があったの?」「最近、様子が変じゃない?」――夫婦間でこうした会話が自然にできると、子どもへのサポートはぐっと深まります。
サッカーママだけが送り迎えをし、サッカーパパだけが試合を見ている…という家庭も多いと思いますが、それぞれが見たこと・聞いたことを共有し合うことで、子どもの小さな変化にも気づきやすくなります。
夫婦でお互いの役割をリスペクトし、連携しながら子どもを支えていくことが、何よりのサポートです。
子どもが悩んでいたら、よく話を聞いて、言いたいことを吐き出せる場所をつくる
壁にぶつかったとき、子どもは「こんなこと、親に言ったら怒られるかも」と思い、気持ちを抱え込んでしまうことがあります。
だからこそ、「話していい」「否定されない」環境を作ることが大切です。
うまく話せない時は、一緒に散歩したり、お風呂に入ったり、何気ない時間の中で「最近どう?」と聞いてみるだけでも効果的です。子どもが本音を出せる場所でありたい――それが、親としての本当のサポートです。
みんなサッカーをやりすぎていませんか?
最近の少年少女サッカー界では、週末はすべて試合、平日も練習で埋まっているという家庭が多くあります。ですが、体も心も未成熟な子どもにとって、これはかなりの負荷になります。
実は「やりすぎ」が原因で、燃え尽きてしまう子も少なくありません。1日だけ完全オフにする、友達と遊ぶ時間を設けるなど、余白を持たせることも必要です。
「好き」を長く続けるために、親があえて「休ませる」という選択をする勇気も持ちましょう。
勉強はちゃんとするべき:勉強習慣がないとサッカーも難しくなる
「プロになるにはサッカーだけで十分」と思われがちですが、実は勉強も非常に大切です。
試合中に状況判断をする、戦術を理解する、コミュニケーションを円滑に取る――すべてにおいて「考える力」が必要です。これは、日常の学習習慣によって育まれます。
勉強とサッカーを両立させることは、将来の選択肢を広げる意味でも重要です。親が「勉強しなさい!」と強く言うよりも、「サッカーにも役立つよ」と視点を変えて伝える方が、子どもに響くことがあります。
選手と保護者と指導者は「三位一体」
サッカーを通じた子どもの成長には、選手本人だけでなく、保護者、そして指導者との連携が不可欠です。
親が指導者を信頼し、協力する姿勢を持つことで、子どもも安心してチャレンジできます。「うちの子をどう伸ばしたいのか」「最近の様子はどうか」など、定期的に情報を共有することが、成長の加速に繋がります。
「うちの子がどう育っていくべきか」を、保護者と指導者が共通認識として持つことが理想です。
まとめ:サッカーママ・パパにできる本当のサポートとは
子どもがサッカーを始め、壁にぶつかるのは当然のことです。そんな時こそ、サッカーママ・サッカーパパの出番です。
無理に前へ進ませるのではなく、時に止まり、寄り添い、応援し、必要な時には背中をそっと押す。その繰り返しが、子ども自身の「好き」という気持ちを支え、挫折を乗り越える力へと変わります。
「この子にとってサッカーとは何か?」を常に問いながら、一歩引いて、でも温かく見守る。そんな存在でいられたら、きっと子どもはまた、前を向いてボールを追いかけていくはずです。
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